「そして二人だけになった」心に雷が落ちたようでした。※ネタばれ注意
さて今も仕事中にこの記事を書いているわけです。
うさぎまんじゅうです。
少し前、彼と立ち寄った本屋さんでみつけた
著者は森博嗣。
心に雷が落ちてきた作品
この作品は私の中で数年ぶりに最高に興奮した作品で、通勤でいつものように読んでいたんですが、帰宅してからもラストの部分が気になりすぎて夜中までノンストップで読んでしまった。
太もも、おしりまで全身に鳥肌を立たせた本はこれが初めてで、興奮しすぎてなのか夜眠るのが怖くなったほどです。
本自体の細かい解説は避ける。
※以下ネタバレ注意
ひとつめのネタ晴らし、
バルブは実はふたつあったんだ
というのはなんとなく想像していて、もしかして勅使河原と森嶋はそれぞれお互いに本物と出会っていたんじゃないか。「見た目も驚くほどそっくり」ってお互いに冒頭で付箋撒いていたし、仕組みはわからないけどきっとそうだろうなーというのがあった。
勅使河原と森嶋が北海道で暮らし始めて初めてキスをしたとき、
その「キス」でお互い初めてキスを交わした
という一文がたまらなく好きだ。
なんとなく、お互いに知っているはずなのに、愛し合ったはずなのに他人行儀な描写が書かれていて本人たちもその謎がわからなかった。
でもそれが初めてキスをするという行為によってお互いが「違う」と感じれるなんて、一時的でも本当に愛し合っていた証拠だろうし、それによって覚醒したように付箋回収が頭の中でものすごい勢いでなされていくところで、私自身自分の心臓の音が聞こえるような、、「どくん、どくん、」と波打っているのがよく聞こえた。
なんていうんだろうか、本というのはもちろん第三者目線で読むものだと認識はしているけれど、この描写が書かれている部分は、本当に勅使河原と森嶋だけの。ふたりだけの世界がより濃いものになったような気がして、私がこんなところを除いてしまってよいのだろうか、とさえ思ってしまうほどだった。うまく伝えられない。
それから実は勅使河原と森嶋は同一人物だったという事実。
本当に最後の最後に判明するんだけど、これには冷や汗をかいてしまった。
単にどんでん返しに驚いたなんて程度のものではない。
それは勅使河原と森嶋が北海道に住む上でふたりを監視する役のような役割をもった人物の手記からあらわになったことだった。
同一人物という事実にも驚いたけど、今まで勅使河原と森嶋が会話をしているシーンや手を繋いで歩いているシーン、それに勅使河原(本物)と森嶋の姉のシーン。
たくさんあった。
でも勅使河原という人物は4人分の人格をもっていた。
彼の中では4人が当たり前に別々であり、お互いへの感情もあり、感触だってあった。
お互いがお互いを可視化さえしていた。
しかしそれが全て自分だけだったという現実はどういう、どういった気持ちでいればいいのかわからなかった。
結局はひとりだった。手を繋いで歩いている描写だって実は人形と手を繋いで一人で歩いていた。その様子を見ている自分だって自分なのだ。
私がもし勅使河原の立場になってしまって、全てを本当の意味で理解してしまったらどういう気持ちになるだろうか。
きっと全てに裏切られた気持ちになる。
少なくとも正常ではいられないし、生きることだってできないだろう。
(思い出そう、思い出させようという描写は一切ないのだが)
この時の私の自分の感情をうまく書こうとしても今うまく表現できない
本当に自分の才能に泣けてくる。今だってタイピングする手が止まらない。
この思いをどこかに記さなければならない。
その思いで今まさに、殴り書きをしている。