24歳OLのチグリジア

Webデザイナーの取り残された人権

私だけの重たい扉のその先

相も変わらず会社でこれを書いていますが絶賛二日酔いで死にそうです。

今日は事務所内のBGMが無いので静かでとても気持ちいです。(どっちなんだ)

今回の記事は私の新境地についてです。少し長くなるかもしれません。

  

 

昨日の夜に島本理生Redを読み終わりました。

感想はまた別の記事で書こうと思います。ただこの本、愛について考えさせられる内容になっているんですが、読み終わったのが丁度帰りの電車の中で。私は最初に彼氏に愛の言葉をもらったのっていつだったか思い出していたんですね。まあベッドの上だったんですけど。色々と本の中の登場人物とかぶる部分やそれについて考えているうちに、私もなにか一歩踏み出す勇気がほしいなって思ったんです。

 

最寄り駅から帰り道の間に私が大学生の頃にできたバーがあるんですが、雑居ビルの2Fにあるお店でずっと行ってみたかったんですね。20年以上住んでる地元なので雑居ビルの中に入っていくこと自体は全然抵抗がなかったんですが、慣れしたしんだ店に一人で入ることはあっても初めて行くバーっていうのは経験がなかったんです。ひっそりと営業しているお店だし、あきらかにしっぽりお酒を楽しむって感じがでてたので行くなら一人かな、とは思ってて、でもなかなか行けずに5年ほど経ってしまったんですよね

 

冒頭で行ったようにRedを読み終わって、踏み出す勇気がほしかった私は帰り道にそのバーの横をいつものように通ったんですけど、「ここだ!」と思ったんです。ずっと行ってみたかったけど踏み出せなかった場所。友達とではなく、私だけのいきつけのお店。一人の空間。というのもずっと欲しかった私にとってこれ以上ない絶好の機会だと思いました。「今入らなかったら絶対入れない」と考えているうちにお店に引っ張られるように私は道の反対側のお店への入り口の階段の前までいつのまにか辿り着いていました。

 

階段の下には看板がでていて、階段を登っても建物の中というよりは屋根があるだけで外。と言う感じでした。ビルの中を進んで行くと、入っていかないと絶対に見えないだろうなという場所に、ひとつだけあったぽわっと柔らかいオレンジのランプに照らされてお店の扉はありました。ここまで来たんだからあとは扉を開くだけ。お店の扉だけれど、私にとっては新境地への扉。今まで勇気がなくて開けられなかった世界への扉。そう感じていて緊張で自分の心臓の音が耳に響いてました。

  

扉は重く、中はとても静かでした。開けた瞬間に目にはいったのは円筒になっているだろう空間の壁。そこには小窓がついていて円筒のそこから50代くらいの、いかにもバーのマスターといった格好の男性がひょこっと顔をのぞかせました。 

壁に沿って進んで行くと、薄暗い店内の中にカウンターが6席あって正面にマスターとたくさんのお酒が置いてあった。カウンターの手前から二つ目の席には私よりもいくつか年上に見える男性がショットとチェイサーを置いていて、常連さんなのかな。と思いながら私は奥から二つ目の席に腰掛けながらジンライムを頼みました。

 

私が来てからか誰も言葉を発しず、聞こえるのは店内BGMのサックスだけでした。緊張もしたけど、気持ちがよくて身を委ねていたらジンライムができあがって、私の前にスッと差し出されました。グラスを近づけるとジンとライムのとってもいい香りが広がって、味はよくチェーン店ででるような甘ったるいものではなく、苦味を帯びた私の大好きなジンライムでした。作る人やお酒によって当たり前ですが変わるカクテルだけど、このお店のマスターが作るジンライムは私の好みとも一致していて一口目から感動しました。

 

たばこをつけ、何口か飲んで少し余裕が出てきて、私が入って来たことによって様子を伺われている事もわかって、先にいた男性も話をしだす空気ではなかったので思い切って、「週末はもっと人が来るんですか?」と訪ねてみた。マスターは変に構えた感じでもなく「いや、波がありますよ。真ん中の平日が混むときもあるし、よくわかんないです。金曜暇な時とかもあるし」とすごくラフな感じで答えてくれました。

 

そこから先にいた男性も少しづつ会話に加わり、地元も同じだったので地元の話、仕事の話など色々な話をしました。気づくと一杯目がなくなってしまったため、同じものをマスターに頼みました。その間にお手洗いに行ったのですが、視界がぐらっと揺らめいてその時初めて酔ってることに気づきました。

 

私はお酒が好きで白ワインや日本酒などをよく飲むのですがいつ4合以上飲まないと酔えないのに、たった1杯だけでこんな状態になったのは初めてですごく戸惑いました。席に戻っても治る気配がなかったので、頼んだ手前本当に申し訳なかったのですが、2口だけ飲んで、「明日も仕事なので…」と行ってお会計をお願いしました。その際に最後少しマスターとも会話をして下の名前を聞かれました。その時、「あ、また来ていいんだ」と思えて嬉しかったです。常連には程遠いですが最初の一歩が認められた気がしました。

 

店を出るときは男性から「ありがとうございました。また機会があればぜひ話しましょう」と言われて【一人で来るバーで、そこで出会った人とおしゃべりをする】という事に憧れていた私は嬉しくなって、陽気に返事をしたと思います。(すでに記憶が曖昧)

 

 

帰り道、やってやった!一人でバーに行ってやった!私しかしらない事実。他人との繋がりがない私だけの行きつけ(にする予定)のお店。そしてなにより、何年も勇気がだせずに留まっていた一歩がでた。たまごの殻と一緒に薄皮まで綺麗に一気にめくれたときの、あの感じ。

 

こういうことはまだ私にはずっと早いと思ってました。まだ20代だし。周りの大人はもっと大人で世間に揉まれて「大人ベテラン」だし。私なんて周りからみたら「大人ペーペー」とずっと思っていた。でも私も今年で25になる。もうそろそろ私が考えている「大人ペーペー」から抜け出せる頃じゃないのか。いやそもそも、私の頭の中の25歳はもう「大人ペーペー」ではなかったんですよね。

そういう事を考えながらも、もう「大人ベテラン」とか「大人ペーペー」だの考えるのはやめようと思った。私が歳を少し重ねたからかもしれないけど、年齢で臆する必要なんてどこにもなかったんですよね。変なところで変に遠慮がちになる私の悪い癖です。

周りに評判なんて気にしていたらキリがない。行きたい場所くらい自分の行きたいところに思うままに行っていいんだと。そう強く思いました。

私だけの場所。そういう世界に踏み込んだ事にドキドキが止まらなかった。

 

 

 

お店に行ったことはもちろん1ミリも後悔してません。だけど、思い立ったあの日が木曜日だった事実が本当に辛い。なぜ、もく、ようび。

家について布団に入ってからも途中で書いたように目が回るほど酔ってしまったので、なかなか寝れなかったと思います。こういう時、酔っ払ったら眠くなってすぐ寝てしまえる人が心底羨ましく感じます。ただでさえ酔っているのに、目をつむると体がずっと回ってる感覚で本当にグラグラした感覚が続いて目が回るんです。本気で酔うと決まってこうなるので、程度を決めていつも楽しんでいたのですが、一杯でこんな風になるなんて夢にも思ってなかったので、「不覚…」と独り言を言いながらいつの間にか眠りについていました。

 

今考えてもなんであんなすぐ「ガチ酔い」してしまったのか謎です。雰囲気に酔ったというのも程度があるし、マスターが「うちのジンライムは少し強い」とは言っていたのですが、それにしてもというところです。

けど、今思えば彼とのバーも友達と飲むときも気を張っていたのかなと少し思います。良い意味でお酒を素直に楽しめたのかなと考えれば、これはいくらなんでも弱すぎるので少し鍛えないとな。社会人になって長時間大量のお酒を飲む事が減ったのでそのせいで弱くなったのかもしれませんが。

 

 

 

兎にも角にも、強烈な二日酔いの代償に新しい世界と勇気を実らせられた私でした。

これから週一くらいであのお店には通いたいですね。私の楽しみになればいいな。